今日の一冊
- 作者: 山本文緒
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2006/05/10
- メディア: 文庫
- クリック: 12回
- この商品を含むブログ (28件) を見る
家族の複雑な事情、気持ちの移り変わりがリアルに感じられる本。
どこの家庭にも、程度の差はあれ問題はあるのかもしれない。
世間を騒がせる、家族内での争いや事件も、
ニュースで聞くと、「家族でよくそういう事ができるね。」
「異常だね」としか周りからは見えない。
でも、当事者がその事件や争いに至るまでの経緯は、
他の誰にも分からない複雑に入り組んだ気持ちから始まり、
何かの弾みでプツンと切れた瞬間まで。
事件がそのゴールなのかもしれない。
私が何故かそこで感じたのは、
人と比べてはいけないなという事。
きっと自分より裕福な家庭は沢山あるだろうし、
幸せでなに不自由しない家庭も数えきれないくらいあると思う。
そんな家庭を羨んで、ウチはウチは・・と言っても何もならない。
自分が「幸せ」と感じる事は、そんな自分より豊かな人や
他の誰にも感じ得ない幸せな気持ちで、それ以上の幸せはないんだと思う。
きっと自分より貧しい家庭は沢山あるだろうし、
毎日が苦しくて、辛い事ばかりだと思っている家庭もあるだろうと思う。
それを哀れんで、ウチは良かった〜並の生活ができて。
と思うのはあまり意味がないと思う。
貧しくて苦しくても、一瞬の幸せはあるだろうし、
それはその生活をしていないと感じられない幸福感だと思う。
それぞれの幸せは、世界で一番の幸せであって、
他の誰も味わえない気持ちだと思う。
だから自分が辛いからといって、「あの人はいいなあ」
「その人になりたいなあ」ではないんだと思う。
自分は今、シアワセなんだよ。