呆然

前職の会社の社長が突然亡くなり、お葬式へ行ってきました。
私が知ったのは昨晩。
当時良くして頂いていた課長さんからの着信。
「お久しぶりです〜!」と元気に出たものの、
いつもやんちゃなはずの声がものすごく暗くて、
「お前社長の事聞いてない?突然亡くなって今お通夜なんだ。」と。


何を言っているのか、電話を切ってももしかしたらいつもの冗談がエスカレートして
騙されているのか、と、「お葬式出席します。」と返事したにも関わらず
理解するのに時間がかかりました。


新卒で入った会社の社長さんはいつも「置物のような」社長さんでした。
社長車付き、朝はお茶と新聞を差し出し、昼間は持ち込んでいるエアロバイクをこぎ、
定時のチャイムと共に去って行きます。
そんな置物社長が三代続いて、私の中の「社長像」がそう固まった時、
いらっしゃったのが今回亡くなられた四代目の社長です。


今までの私の中の社長像はガラガラと崩れ去り、
朝は社員と同じバスで通勤、マイカップを持参で自分でお茶を注ぎ、
参加できる会議はとことん参加して、社員の机までおしゃべりをしに行きます。
なんて腰の軽い社長なの!と、大好きになりました。


自分が転職を決意して、それでも直前になって弱気になり迷った時も、
「辞めてみて本当にここが良かったって思ったら戻って来て良いから。」
「お前ならいつでも承認のはんこ用意して待ってるから。」と、
その一言で本当に戻ろうかと思うような後押しをして頂きました。


結局転職先で落ちついてきて、改めて挨拶をしなければと思いつつ、
時間だけが過ぎて行った矢先。


テレビでもよく聞く脳の方に原因があり、倒れて一週間で亡くなったそうです。


社長への挨拶がこんな形になった事になんだか心臓がバクバクと早まり、
お花を持って最後のアイサツをさせて頂いた時はもう我慢の限界でした。


した事ないと言ったのに、「練習すれば良いじゃないか!」と
会社のゴルフコンペに参加させてもらった事や、
いつも行っている飲み屋はどこだと聞かれ、
「はい、○○の焼き鳥屋です!安くて美味しいから。」と答えると、
「よし、じゃあそこへ行こう!」と言って小汚い大衆飲み屋へ
一緒に行ってくれた事。


涙がこめかみの奥からじわーっと出てくるのと同時に思い出も
じわーっと流れ出て、喉が詰まりそうでした。


少し疎遠になっていた会社の方々も
「久しぶりー何してるの今は。」と声を掛けてくれて、
皮肉にも人との繋がりの暖かさを同時に感じました。


しなくてはしなくては、と思っている事を先延ばしにすると
後悔すると言う事を身を持って感じました。


思った事や望む事は即行動。
平等な時間の中で、何でもやった方が得なんだと思います。


社長、ありがとうございました。
ご冥福をお祈りしています。