人の流れ、のこと。


この一ヶ月、通勤電車に乗って会社の最寄りの
巨大ターミナルの駅を降りると、
自分の足下だけを見て歩くのが精一杯だった。
一歩歩くごとにカチっと自分の心を閉ざすように。


少し前から気付いていたけど、
一ヶ月経ったので顔を少し上げて視界を広げて歩いてみた。


怖かった。


黒い頭が沢山、
吸い込まれるように地下道に、乗り換えに、
ある所では交差して「カツカツカツカツ」と
ホラー映画のような音を立てて過ぎていく。


皆無表情で、何を考えているんだろう。
今日はあの仕事からはじめよう、とか
今日の営業先は憂鬱だなあ、とか
夜はコンパだから早めにトン面しよう、とかだろうか?


それとも表情そのまま、何も考えてい無いんだろうか?


その波の一部に自分が居る事が、
正直言って嫌だった。


あの巨大ビル群のひとつひとつの窓の中に
マメ粒のような人間がコメ粒のような机に座って。


何の為に?
「何」の目的が私には欠けているから?
こんな風に毎日を疑問にしか考えられないのは
私だけなんだろうか・・


ひとりごと。